【加須市】東北道のすぐ側、町屋新田にこんな史跡があったとは。東屋もあって気軽に立ち寄れる「鶴ヶ塚古墳」「十九夜塔」は隠れたおすすめ歴史スポットです。
加須の中心街から見て東北自動車道の向こう側、町屋新田にはしっかりと整備された史跡があるのをご存知ですか? 古くからの歴史を今に伝える「鶴ヶ塚古墳」と、安産信仰が息づく「十九夜塔」の2つが一箇所に集まっている場所で、なかなか見ごたえのある歴史スポットなんです。
■ 古代のロマンを秘めた「鶴ヶ塚古墳」
まずご紹介するのは、約1500年前、古墳時代に築造されたとされる「鶴ヶ塚古墳」です。直径約15m、高さ約3mの円墳とされていますが、前方後円墳の可能性も示唆されているそうです。
墳丘上には天照皇太神や稲荷社などが祀られ、一見すると古墳とは分かりにくいかもしれません。しかし、ここからは「靫形埴輪(ゆぎがたはにわ)」が出土しており、加須市教育委員会による説明によると、これによってかろうじて古墳と認定されています。この埴輪の発見がなければ、ただの鎮守の森として見過ごされていた可能性もあるのですね。
そして、この古墳にはかつて、樹齢300年を超える「鶴塚の大松」がありました。その雄大な姿は、地域に伝わる記録によると、加須市内で唯一の大樹と称されるほど見事だったそうです。残念ながら今は枯れてしまいましたが、その幹の一部が大切に保存されており、往時の姿を偲ばせてくれます。

大切に保存されている鶴塚の大松の幹
埼玉県選定重要遺跡にも指定されている鶴ヶ塚古墳。いにしえの人々の営みに思いを馳せることができる、貴重な場所ですよ。
■ 女性たちの願いが込められた「十九夜塔」
鶴ヶ塚古墳から道路を挟んだすぐ目の前には「十九夜塔」があります。これは「月待塔」の一種で、旧暦19日の夜に集まって月を拝み、供養を行う「十九夜講」という信仰集団によって造立されました。
特に、この十九夜講はほとんどが女性たちの集まりだったとされています。そのため、十九夜塔は「安産の神様」として、地元では「十九夜様」と呼ばれ親しまれてきました。産前産後にお参りする風習も残っているそうですよ。
現地の解説板によると、塔には天保6年(1835年)の銘が刻まれているものもあり、江戸時代から脈々と続く女性たちの願いが込められていることが分かります。
■ 東屋もあるからサイクリング中のちょっとした休憩にもおすすめ
十九夜塔のすぐ脇には休憩に最適な東屋も設置されています。歴史散策の途中でちょっと一息入れたい時にも便利ですよ。取材で写真撮影をしている間にも、ロードレーサーに乗った人たちが一息入れていました。
町屋新田の鶴ヶ塚古墳や十九夜塔は、東屋もあってとても見学しやすい歴史スポットです。史跡に興味があるけれど、これまでこの場所の存在を知らなかったという方は、ぜひこの二つの史跡に足を運んでみてください。
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